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【電気の基本】受変電設備の耐用年数は?メンテナンスの重要性と長期稼働のリスクも解説!

工場やビル、病院や商業施設など多くの電力を使用する施設において、受変電設備は高圧の電力を受け取り、使用に適した電圧に変換するために欠かすことができない重要な役割を担っています。
長年にわたり使用し続ける設備ですので、不意の故障や事故が起こらないよう、定期的なメンテナンスや適切な更新工事を行うなど、設備の維持・管理には十分に備えてきたいものです。

今回は、受変電設備の耐用年数や長期稼働のリスク、メンテナンスの重要性について解説します。

受変電設備の耐用年数は?長期稼働のリスクとメンテナンスの重要性も解説!

受変電設備とは?

各家庭で使われる電気は、電柱に設置されている変圧器を通して100Vや200Vの低圧に下げて送られます。しかし、大量に電気を使用する工場やビルなどの特別高圧・高圧設備の場合は、発電所から送電される高圧の電気をいったん受電した後、施設内で低圧電力に変圧し、各機器に電気が供給されます。これらを行う一連の設備が受変電設備です。

受変電設備には、電気を安全かつ適切に変圧する機器ほか、故障や事故などの際にいち早く異常をキャッチして被害を最小限にする保護継電器などの機器も含まれます。

受変電設備の耐用年数と更新時期

受変電設備の耐用年数は、機器の種類やメーカーによって異なりますが、一般的には20~25年程度といわれています。

受変電設備には、「法定耐用年数」と呼ばれる工業標準化法のJIS規格で定められたものがありますが、これは税法上の観点による年数であり、実用耐用年数よりも短く設定されています。

実用耐用年数は、機器の使用状況や環境条件等にもよりますが、正常な使用や定期的なメンテナンスを続けることで、法定耐用年数以上に寿命を延ばすことが可能です。

下表は特別高圧の受変電設備における、各機器の「更新推奨時期」と「使用者の平均更新期待年数」をまとめたものです。

受変電設備の耐用年数と更新時期を解説

[特別高圧電気機器の設備診断の更新推奨時期と平均更新期待年数]

機器名称(特別高圧) 更新推奨時期(年) 使用者の平均更新期待年数(年)
GIS 25 27.1
C-GIS 25 27.1
気中断路器 20 26.3
真空遮断器 20年又は規定開閉回数 25.0
ガス遮断器 20年又は規定開閉回数 26.1
計器用変成器(油入) 20 26.1
油入変圧器 25 27.4
ガス入変圧器ガス絶縁変圧器 25 27.4
酸化亜鉛形避雷器 20 26.5

<出典>一般社団法人日本電機工業会,長期使用受変電設備の信頼性の考察 改訂版,https://www.jema-net.or.jp/jema/data/S9225(20230327).pdf

表中の「更新推奨時期」と「使用者の平均更新期待年数」を比べていただくと、いずれの機器も「使用者の平均更新期待年数」の方が長く、多くの現場で更新推奨時期を超えても使用されていることが分かります。

設備の老朽化は避けては通れません。もし、点検や部品交換・更新等の実施を怠ると事故や故障が発生し、施設全体の操業が停止することによって、多大な損失が発生するおそれもあります。そのような事態に陥らないためにも、定期的な保守点検や設備診断を実施して継続的なアセスメントを行い、更新や延命化を含めた適切な保全を行っていくことは非常に重要です。

耐用年数を過ぎた受変電設備にはどんなリスクがあるの?

事故のリスク

受変電設備の耐用年数を超えて使用し続けても、すぐに事故や故障が起こるわけではありません。
しかし、適切なメンテナンスや更新工事を行っていない設備は、老朽化や機能低下によりさまざまな事故のリスクが生じる原因になります。では、具体的にどんな危険性があるのでしょうか?

例えば、劣化した受変電機器を使い続けると、地絡事故や漏電事故のリスクが高まります。これらの事故は、火災や感電につながって停電を引き起こす可能性があり、命に関わることもあるため非常に危険です。

また、受変電設備で発生する事故が原因となるもので、特に注意が必要なのが「波及事故」です。波及事故とは、受変電設備などの事故が原因で電力会社が送電を停止し、同系列の配電線から受電している近隣の住宅地や商業地などの第三者に停電をもたらす事故のことです。波及事故の影響は広範囲に及び、近隣の施設や住宅に停電被害をもたらすだけでなく、社会問題や賠償問題に発展する場合もあります。

コスト&エネルギーのロス

老朽化した受変電設備はエネルギー効率が低下し、電気代が高くなるリスクがあります。
受変電設備は年々進化していますので、電気使用量の平準化やエネルギー効率をアップさせる機器を採用することで、ランニングコストを抑えられるだけでなく、省エネルギーにも貢献できます。

耐用年数を過ぎた受変電設備にはどんなリスクがあるの?

まとめ

受変電設備を、安全性と信頼性を確保しながら長く使い続けるためには、定期的なメンテナンスや適切な更新工事が不可欠です。

各機器のコンディションを継続して的確に把握することで、事故を未然に防ぐことができるだけでなく、最適なタイミングで更新工事を行うことにもつながります。

受変電設備の長期稼働のニーズはますます高まっています。設備の安全性や信頼性はもちろん、省エネやライフサイクルコストなども考慮した長期的なスパンでの保全をお考えの場合は、まずは専門の技術や経験、知識を備えた業者にご相談してみてはいかがでしょうか?

当社では特別高圧の受変電設備を中心に点検・工事を承っております。特別高圧の設備に関するお困りごとがございましたらぜひお気軽にご相談ください。

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