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高圧ケーブル・特別高圧ケーブルが絶縁破壊!復旧までの近道とは?

再生可能エネルギー利用の活性化に伴い、各地で建設が進められた太陽光発電所や風力発電所。そのような再生可能エネルギー発電所において、ケーブル事故が相次いで発生しています。

万一、お客さまが所有する高圧ケーブルや特別高圧ケーブルに絶縁破壊が発生し、送電できない状況になったらまずはどうしたらよいか、準備はできていますか?

今回は高圧ケーブル・特別高圧ケーブルが絶縁破壊した場合に、いち早く復旧させるための対応プロセスと、業者選びのポイントについて紹介いたします。

頻発する高圧・特別高圧ケーブル事故の背景

近年、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電所の建設が各地で進み、電力会社との系統連系のために、発電事業者が自営線を所有するケースが増えています。この自営線では、安価な製品を採用したことによる不具合や施工不良によって、竣工検査時や運用時に絶縁破壊によるケーブル事故が発生することがあります。

復旧までに時間がかかる要因とは?

この高圧・特別高圧ケーブル事故の恐ろしい点は、復旧までに1ヶ月以上かかることもあるほど、その影響が長引くことにあります。
1日で数百万円の電気を生み出す再生可能エネルギー発電所にとっては多大な損失につながる深刻な事態です。
事故が判明した時、まず連絡する相手は地域ごとに登録されている電気保安法人、お付き合いのあるEPC、もしくは日頃メンテナンスを任せているO&Mなどが思い浮かびます。また、発電所を工事した施工会社を頼りに、ケーブルメーカーや測定機器メーカーへ行き着くかもしれません。

しかし、故障点を特定する測定実施会社は想像以上に少ないうえ、緊急対応を行ってくれるかも不透明です。また、ケーブルや接続材料等の事故復旧資材の入手にも多大な時間を要するため、一般的にケーブル事故が復旧し送電可能な状態になるまで早くても1~2ヶ月の時間を要します。

一日も早く復旧させるためにはどうしたらいい?

では、少しでも早く復旧させる方法はないのでしょうか?
発電所設備を工事した施工会社や点検会社にまず連絡することは間違っていません。
布設ルートや必要な手続きを熟知しており、実際に緊急対応をしてもらえるケースもあります。
しかし、条件によっては真っ先に専門業者を探した方がよいケースがあります。

【工事会社にお任せすれば良いケース】

● ケーブル亘長が短い(概ね200m以下)
● 依頼した会社で直ぐに対応が可能
● 引替に必要な資材(ケーブル・接続材料など)の入手が可能
※上記すべての条件が揃っている必要があります。

【専門業者を探す必要があるケース】

● ケーブル亘長が長い
● 依頼した会社が直ぐに対応できない。
● ケーブルサイズが大きい等、引替に必要な資材の入手に時間を要する。

なぜ、上記のケースにおいて「専門業者を探す必要がある」かというと、理由は復旧までの工程にあります。(図1)

図1 ケーブル事故復旧順序

復旧までの工程において、絶縁破壊を起こしているスパンを特定する「故障点標定」をいかに早く実施するかが早期復旧への重要なポイントです。

例えばケーブルの亘長が長い場合、復旧時間や費用面から全線引替は非効率であるため、絶縁破壊した悪いスパンを除去し、除去したスパンに新しいケーブルを接続するという方法で復旧を目指します。絶縁破壊した悪いスパンをいち早く特定できれば復旧に向けて必要な資材をすぐに手配でき、資材入手までに要する時間を短縮することが可能です。

しかし、「故障点標定」技術は電力システム運用で用いられる特殊な保全技術であるため、電力会社以外でその技術を有している施工会社はほとんどありません。また、自営線のように亘長の長いケーブルや特別高圧ケーブルの故障点標定に対応できる資機材を保有する会社となると、さらに希少です。

そのため、故障点の標定が確実に実施できる専門業者へ依頼する方法が一番の近道となります。

故障点はどうやってみつけるの?

「故障点標定」は特殊な技術であり、主に以下の方法で故障点を測定します。

● マーレーループ法
● 低圧パルスレーダー法
● 高感度マーレーループ法

上記3種類のなかで、最も一般的な測定法は「マーレーループ法」で、測定誤差が少ないという特長があります。ただし、故障の状態によっては測定できないケースがあることから、1種類だけでなく、複数の方法で測定できる会社に発注することが大切です。

マーレーループ法(※)はケーブルの亘長を基に比率によって故障点を特定する方法なので、なかには故障点を特定せずに「〇〇m~〇〇mの範囲」という結果しか出さない会社があります。また、請け負ったものの高抵抗により故障点が判らない等、トラブルが発生する可能性もありますので、業者選びの際はどのような測定をするのか、結果報告は適切かなど事前に確認しておきましょう。

※マーレーループ法
線路の全長に基づき、ケーブルの一端で直流ブリッジを形成してその平衡条件よって故障点までの距離を計算する方法

まとめ

ケーブル事故の発生は予測が難しく、ある日突然、売電ができなくなるという事態はいつ起こってもおかしくありません。
事故の復旧を急ぎ、送電不能による損失をできるだけ抑えるためにも、トラブル時に対応を依頼する業者を事前に確認しておくことは非常に重要です。

<今回の記事のポイントをおさらい!>
- 工事会社に復旧を依頼できるケース

①ケーブル亘長が短い
② すぐに対応可能
③ 引替に必要な資材が入手可能
※すべての条件がそろっている場合のみ

- 専門業者に復旧を依頼した方が良いケース

①ケーブル亘長が長い
② すぐに対応できない
③ 引替に必要な資材が入手困難

- 早期復旧へのカギは、「故障点標定」をいかに早く実施するか。
- 亘長が長い等、様々な設備形態の故障点標定に対応できる資機材を備えた専門業者へ依頼することが事故復旧への近道
- 故障点の測定方法は主に下記の3種類であり、精度を高めるために複数の方法で測定できる業者を選ぶことが大切

【測定方法】
①マーレ―ループ法
② 低圧パルスレーダー法
③ 高感度マーレ―ループ法

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