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塗装の周期を伸ばしたい!ニーズにマッチしたオリジナル塗料
2020.04.01
低濃度PCB廃棄物処理の処理期限が2027年3月31日にせまっており、古い設備を所有しているお客さまも、PCB濃度分析をする機会が増えてくるかと思います。
このPCB濃度分析は、PCB濃度が0.5mg/kg以下か超過で、通常の産業廃棄物で処理できるのか、それとも経済産業省や環境省へ手続きを行い、毎年PCBの保管に対する報告を行うだけでなく、無害化処理認定施設での処理となるため、その後にかかるコストが大きく違ってきます。
意外に知られていないのが、PCB濃度分析は、分析機器に絶縁油を入れて機器が自動的に濃度を分析するイメージがあるため、どこの分析機関(会社)に頼んでも、結果は同じ(=だから安いところに頼む)と思われていますが、実は、測定精度は分析機関によって大きく違います。
一般社団法人日本環境測定分析協会では、各分析機関のPCB分析の精度を客観的に評価する「絶縁油中PCB分析に関するクロスチェック」を毎年開催しています。
毎年だいたい90社くらいの機関が参加しており、当社も毎年参加しています。
評価方法は、協会が作成した試料の濃度との比較とz-scoreと呼ばれる中央値からの乖離で評価が行われており、z-scoreは以下の数値で評価されます。
【z-score】 |z|≦2:満足、 2<|z|<3:疑わしい、 3≦|z|:不満足
上記のグラフは一例ですが、注目していただきたいところは、当社のz-score・・・ではなく、z-scoreが2<|z|となっている頻度が全体の1割~2割も占めているという事実です。(この年の参加機関数は92社)
このクロスチェックは、自社の測定精度の確かさを確認するために参加する意識の高い機関の集まりであると仮定すると、クロスチェックに参加していない機関の測定精度はどのくらいになるのか気になってしまいます。
測定濃度に関しても、作成濃度0.5mg/kgに対して、最小値は0.340mg/kg(誤差-32.0%)、最大値は0.686mg/kg(誤差37.2%)の乖離があります。
※当社は2.4.1法で0.503mg/kg(誤差0.6%)、2.1.2法で0.490mg/kg(誤差-2.0%)
PCB濃度分析には、分析前の前処理など、様々なノウハウがあり、機器で一律濃度測定が行われるものではありません。
上記の例のとおり、濃度分析のコストをケチってしまったばっかりに、本来0.5mg/kg以下だったものが測定誤差により0.5mg/kgを上回り、何百倍もの多大な処理コストになって跳ね返ってくる可能性も十分に考えられます。PCB濃度分析を依頼する際は、クロスチェックに参加している機関なのか、クロスチェックの結果はどの程度の機関なのか、をしっかりと確認した上で依頼されることをおすすめいたします。