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ボルト・ナットの落下防止/今さら聞けない?ダブルナットの正しい締め方

ボルト・ナットの落下や緩みについて困ったことはありませんか?

 

ボルト・ナットの落下や緩みは、時として重大事故につながりかねないため、しっかりとした対策を施す必要があります。

 

今回は、ボルト・ナットの落下防止対策として一般的に採用されているダブルナットの締め方についてご紹介します。

 

ボルトの保全を安全かつ効率的に行いたい方は必見です。

さて突然ですが、下の写真にあるダブルナット。締結方法で正しいのはどちらでしょう?

ボルトのゆるみ止め対策には様々な方法がありますが、中でもダブルナットは広く採用されている締結方法です。

 

しかし、このダブルナットによる締結は、ただナットを2つ使えばよいというものではなく、「正しい方法で締める」ことではじめてゆるみ止め効果を発揮します。

 

つまり、締め方を間違えてしまうと、締め付け力が逆に弱まり、ゆるみや脱落の原因となってしまいますので十分な注意が必要です。

 

そこで、今回はダブルナットの正しい施工方法と注意点について、分かりやすくお話ししていきます。

 

「厚いナットを上にして、下ナット逆転法で締め付ける。」がダブルナットの正しい締め方

「上ナットに厚いナットを使用する」のが正しい組み合わせ

用意したナットの高さが異なる場合、母材から近いほう(下)に薄いナット、遠いほう(上)に厚いナットを使用するのが正しい組み合わせです。

 

ダブルナットは上ナットに軸力がかかるため、厚いナットを配置する必要があります。

締め付け方法には、「上ナット正転法」と「下ナット逆転法」がありますが、上ナット正転法は締め付け完了がわかりにくいため、ここでは一般的に推奨されている下ナット逆転法をご紹介します。

正しい例

図1 厚いナットを上に配置する

ダブルナットの締め付け方(下ナット逆転法)

1.下ナットを締める(正転)

まず下ナットを軽く締め、固定します。(図2)

図2 下ナットを締める

2.上ナットを締める(正転)

次に上ナットを締め付け管理しながら締めます。(図3)

この時、下ナットは上ナットより摩擦力が減少し、締め付け力はなくなります。

この状態で締め付けを終えてしまうと、下ナットに締め付け力は発生しておらず、シングルナットと変わりありません。

 

図3 下ナットを締める

3.上ナットを固定して下ナットを逆回転に締める

ダブルナットの効果を発揮させるためには、最後に上ナットを固定した上で下ナットを逆回転させ、上ナットと下ナットの間にロッキング力を発生させる必要があります。(図4)

下ナットを逆回転させることでロッキング力が発生し、正しく締め付けることができます。これで施工は完了です。

 

図4 ロッキング力発生

ダブルナットの意外な落とし穴

施工品質のバラつきの危険性

ダブルナットは、ゆるみ止め対策として簡単に導入することができますが、正しい施工方法を知らないとゆるみ止め対策にはならないため、厳格な施工管理が重要です。

 

ダブルナットの締結力は、施工者によって変動する危険をはらむとも言えるのです。

 

また、ボルトやナットを繰り返し使用する場合は、傷などの状態によって正常な軸力が得られない場合もあり、注意が必要です。

意外と多い作業量

今回ご紹介したダブルナット逆転法は、ボルトの締結を3回行わなければなりません。

100箇所のボルト締めがある場合、300回の締結が必要となります。

 

施工方法は簡単ですが、作業量としては意外と多い締結方法なのです。

 

締結箇所が多くなればなるほど、作業量も比例して多くなるため、これらを軽減する方法があれば良いと思いませんか?

効率的な緩み止め方法

ダブルナットなしの緩み止め

世の中では、ダブルナットを用いず様々な方法でゆるみ止めを施す方法があります。

その一例を以下に示します。

 

・接着剤の使用(ロックタイトなど)

・ボルトとナットを結合する(割りピン、溝付きナットなど)

・ゆるみ止めワッシャーを使用する(皿ばね座金、ノルトロックワッシャーなど)

・ゆるみ止めナットを使用する(Uナット、ナイロンナット、ハードロックナット、NEWロックナット、スーパーボルト(ナット型)など)

・ゆるみにくいボルトを使用する(ノジロック、スーパーボルト(ボルト型)など)

・ナットの脱落防止を行う(ロックワン、ナットストッパーリング、マッスルナットなど)

 

この他にも様々な方法がありますが、一方でボルト・ナットにおいて、ゆるみや脱落と同じくらい気になるのが「サビ」の問題です。

 

いくらボルト・ナットにゆるまない仕組みを入れても、ボルト自体が錆びてボロボロになってしまっては、ゆるみ・脱落防止の効力は無くなってしまいます。

 

また、錆びてナットが固着し回らなくなる可能性もあります。

錆止めも同時に解決 【ゆるみ止めキャップ FITCAP(フィットキャップ)】

では世の中に、脱落防止の仕組みがあり、かつサビからボルトを守るという、都合のよい製品は無いのか?とお考えになるかと思いますが・・・

 

実はあるんです!ボルト・ナットのゆるみとサビの問題を同時に解決する製品が!

その名は【FITCAP(フィットキャップ)】

 

FITCAPは、特殊な樹脂CAPがボルトの溝にピッタリFITし、その樹脂との摩擦効果によりゆるまないため、ボルトの軸力に依存しないゆるみ止め対策が可能となります。

また、ゆるみ止めの効果としては、NAS3350(米国航空規格)の激しい振動試験をクリアしています。

NAS3350振動試験をクリア

ゆるみ止め効果検証の動画はこちらから ▲

さらに、FITCAPは、特殊な樹脂に含まれる防錆成分と被覆防食の2つの効果で、安定的に優れた防サビ性能を発揮します。

 

接着剤は使用しないため、経年後も簡単にボルトの開閉ができます。

 

そのため、定期的な開放が必要な締結部に最適で、効率的な設備保全を可能にします。

 

FITCAPの錆止め効果についてはこちらから

FITCAPとダブルナット

FITCAPの使い方

FITCAPはナット同様、ネジ山に回して設置します。

FITCAPを使用した場合、ナットの使用数は1個。締結回数はたった1回。そのあと手閉めでFITCAPを付けるだけの簡単施工です。

アンカーボルトの突き出しが短い場所

FITCAPだとナット一つで簡単施工

アンカーボルトの突き出しが短い場所では、無理にダブルナットを締め付けるとナットがゆるんで脱落する可能性があります。

 

FITCAPはカッターナイフで切れる素材ですので、現地で長さを調整して使用することも可能です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

単純な構造のダブルナットですが、施工方法が間違っていると逆効果になってしまいますし、ゆるみ止めという大事な役割を担っている部分にもかかわらず、意外と間違った施工がなされているのが現状です。

 

今回、ダブルナットはどのような原理でゆるみ止めとなっているのかを図解することで、なぜ厚いナットが上なのか、なぜ下ナットを逆転させて締め付けるのかという理由がお分かりいただけたと思います。

もう一度、これらの内容をおさらいすると、

・ダブルナットの締め方は、厚いナットが上、下ナット逆転法で締め付ける
・ダブルナットは、施工者により品質がバラつくため、厳格な施工管理が重要
・厳格な施工管理を軽減する代替策として、様々なダブルナット無しのゆるみ止め方法がある
・手間なくサビの発生と落下防止の両方を解決するにはFITCAP(フィットキャップ)がおススメ

最後にご紹介したFITCAP(フィットキャップ)は、接着剤を使用しないため、繰り返し使えて、手間なく簡単取り付け可能なボルトキャップです。

 

また、金型が不要のため、小ロットから製作可能ですので、まずはお試しいただき、良さを実感してみてください。

 

試作等についてもご相談を承ります。どうぞお気軽にお問い合わせください。

FITCAPの錆止め効果についてより詳しくお知りになりたい方はこちらからご覧ください。

→【対処・対策編】ナットが外れない!と困るその前に。保全マン必見の対処・対策法

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