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【原因編】ボルト・ナットが外れない!その原因は? 保全マンが知っておくべき対処法
2020.12.14
様々な現場で使用されているボルトやナット。
点検などの際に外そうとしても、サビやかじりが原因でどうしても動かない!ということは度々おこります。
ボルト・ナットが外れなくなると、工具を使って切断するなどの大がかりな作業が発生し、現場の作業を停めてしまうことも・・・。
前回は、ボルト・ナットが外れなくなる原因と一般的な回避方法についてご紹介しましたが、
今回は後編としてナットが外れなくなった時の対処法と、そもそも「ナットが外れない」というピンチを回避するためのおすすめの対策法をご紹介します。
この記事を読めば、日々の保全がさらに効率的になります。
ナットが外れなくなる原因について詳しくは、前回の記事をご覧ください。
→【原因編】ナットが外れない!その原因は? 保全マンが知っておくべき対処法
前回の記事で、ナットが外れなくなる原因は
だということがわかりました。
今回は、3つの中でも特にナットが外れなくなる原因である『サビ』について、その対処法とおすすめの対策法をご紹介します。
サビをおとす方法として代表的なのは、溶剤や工具を使う方法です。
まずはじめに試していただきたいのは、「①潤滑・浸透剤を塗布」する方法です。
軽度のサビであれば、潤滑スプレーでサビを除去することが可能です。
その際、ワイヤーブラシなどでサビ落としをしながら潤滑スプレーを使うとさらに効果的です。
ただし、1回の塗布で完全にサビを除去することは難しく、時間をおいて2回目、3回目と塗布をしないとなかなかサビが落とせないこともあります。
作業に時間と手間はかかりますが、最もコストがかからない対処方法です。
軽度のサビの場合は、「②ハンマーで叩く」方法でボルトナットの固着が外れることもあります。
また、①でご紹介した潤滑剤と併用すれば、より効果的です。
ただし、ボルトのネジ山が変形しないよう、叩く場所やハンマーの選定には十分な注意が必要です。
また、振動や衝撃を加えることができない設備の場合には、使用を控えましょう。
潤滑剤やハンマーを使用しても外れない場合は、最終的に切断するしかありません。
切断する場合は、締結母材やネジ山を傷つけないよう細心の注意を払いながらナットを切断する必要があります。
ナットブレーカーは別名ナット割りとも呼ばれ、動かなくなったナットを切断するための工具です。
使用する際は、ナットの大きさに合わせたものを選びます。また、ナットブレーカーのなかには、ステンレス製のナットを切断できないものもあるのでまずは仕様の確認が必要です。
切断に電動サンダーを使用する場合は、刃がボルトのネジ山に到達しないように、注意深く作業を行ってください。
もし、締結母材やボルトをわずかでも傷つけたくない場合は、操作が難しいサンダーの使用は避けたほうが賢明です。
ここまでは、ナットが外れなくなった時の一般的な対処方法についてご紹介しました。
万一に備えて、潤滑スプレーとハンマーは現場に常備することをおすすめします。
ただ、現場ではできればこのようなイレギュラーな作業が発生しないことが理想ではありませんか?
例えば、潤滑スプレーを吹きかけてナットを外そうとしても、ネジ山が錆で膨らんだりしていて、そう簡単には外れないことがあります。
こちらの動画↓をご覧ください。錆びたボルト・ナットは、はたして潤滑剤によって外れるのか?!
重量机ごと動いてしまい、外れませんでした。
ある程度の錆を落とせば外れることもありますが、ナットとネジ山の境目が激しい腐食で固着した場合は外れないことも多く、錆落としだけに相当な時間を費やすことになります。
タイムスケジュールの決まっている現場では、潤滑剤が浸透するまで待つ時間もありません。
ナットブレーカーも、ナットサイズが大きい場合は電動油圧式のものを用いるため価格は高く、すべてのサイズ・仕様に備えて工具を揃えるとなるとトータルコストもかかります。
錆の程度は環境によって千差万別。ナット1箇所ならまだしも、何百箇所も切断作業を繰り返すのは避けたいところです。
このようなことを考えると、「ナットが外れなくなる前の対策」がいかに重要か おわかりいただけると思います。
ボルトのネジ山が錆びて膨張した状態になると、ナットが回らなくなります。
塗装を行えば錆の発生は防げるものの、ネジ山に塗料が詰まると異物が噛んでしまった場合と同様に、開閉ができなくなります。
沿岸部など、特に錆が発生しやすい環境では、塗装を行っていても塗膜が劣化します。
一般的に、定期的な塗り直しを行いますが、ケレン作業(錆落とし)が不十分だったりすると、締結部はすぐに錆が再発してしまうものです。
また、ナットとボルトの境目に発生した錆は、サンドブラストを使用しても落としきることが難しく、塗装後すぐにサビが再発する大きな要因となっています。
このような状態になったボルト・ナットは、取替時に切断が余儀なくされ、切創等の災害リスク対策や、場所によっては火気作業に伴う申請等も必要となってしまいます。
また、ナットの切断作業によりボルトや締結材を傷つけてしまう可能性もあるのです。
そこで!おすすめの対策品が、繰り返し何度でも使用できるボルトキャップ『FITCAP』です。
一般的なボルトキャップはシーリング材を併用するため、繰り返し開閉が必要な設備では、まずシーリング材を除去する手間が発生します。
FITCAPは樹脂自体に防錆成分が含まれている特殊なボルトキャップで、シーリング材を一切使用しないで締結部にぴったりと密着させることができ、長期的な錆び止めをすることが可能です。
また、ノンシーリングなのでボルトキャップが固まらず、再利用することもできます。
点検などで定期的なボルト開閉を行う設備や、ボルト・ナットの切断といったリスク作業を避けたい場所におススメです。
一般的な錆止め対策とFITCAPとを比較してみます。
ステンレスを材料としたボルト・ナットは「錆びない」というメリットがあることから利用されることも多いですが、締結母材が鉄の場合、鉄との電位差により、逆に母材の鉄を錆びさせる特性があるため、使用に際しては注意が必要です。
加えて、ステンレスボルト・ナットは「かじりやすい」という特性があります。
「かじり」とは、ネジ山が固着し、動かなくなってしまう現象のことをいいます。
詳細はこちらから↓
→【原因編】ナットが外れない!その原因は? 保全マンが知っておくべき対処法
また、ボルト・ナットが一定のサイズを超えるとその価格はぐっと高額となり、特殊なサイズ(十割ナット、特殊ピッチ)の場合も同様に価格が上がります。
FITCAPは、水分や紫外線をシャットアウトして、優れた防錆効果を発揮します。
また、M27以上の大きいサイズも低コストで製作可能。
現在ステンレス製のボルト・ナットをお使いで、「かじり」にお悩みの場合は、摩擦係数の小さいボルト・ナットに取り替えの上、FITCAPをご使用いただくことで、① 錆び止め、② かじり防止、③ コストダウン、の3つを同時に解決します。
ボルト・ナットの錆止めに防錆グリスを使用する場合はその特性を知った上で、まず設置環境や設備の使用条件を確認することが大切です。
・雨水でグリスが流れ落ちて、錆が発生してしまう。
・日射しに曝されてグリスが乾き、錆が発生してしまう。
・汚れや粉じんが多くグリスにゴミが付着しやすい。
など、環境や条件の違いによってグリス本来の効果が十分に発揮できないことがあるからです。
グリスは塗布と除去のしやすさが特徴ですが、その反面、付着した異物の除去が困難であったり、回転抵抗が大きいというデメリットもあります。
また、その形状の特性から個々のボルト・ナットの塗膜の厚さにバラつきがでて、防錆効果が持続する期間も一律とはいえません。
FITCAPは設置現場の条件にあわせてジャストサイズの製作ができるので、対象物にぴったり密着し、塵埃の混入を防ぎます。
雨水や強い日差しなどにより防錆効果が落ちることはなく、何度も現場へ出向いてグリスアップする必要がありません。
また、激しい振動や衝撃にも強く、NAS3350振動試験をクリアした密着力は強みの一つです。
シーリング材付きのボルトキャップは、錆び止めの効果が高く、ナットの落下防止機能も備えているので、様々な場所で適用されています。
一方で、シーリング材を使用することによるデメリットも指摘されています。
たとえば・・・
・作業に時間がかかる
・作業者によって品質(樹脂の使用量、美観)にバラつきがでる
・シーリング材が固着するため、定期点検などの開閉箇所では選択できない
・開放時にはボルトキャップを切断するので、再利用ができない
・設置・除去作業の際にゴミが発生する
など、必ずしも現場のニーズを満足させているわけではないというのが実情です。
シーリング作業は手間がかかります。
シーリング作業の準備・片付け
FITCAPは、シーリング付きボルトキャップのメリットはそのまま!しかも、デメリットをすべて解消します。
【FITCAPのメリット】
・安定的な錆び止め効果&落下防止効果
・作業時間が短く、品質のバラつきがない
・再利用できる
FITCAPは防錆成分が含まれた樹脂被膜が安定的な錆び止め効果を発揮します。
シーリング材を使用しないので、作業品質のバラつきもありません。
また、工具を使わずに手で取付け&取外しができるので、作業時間を大幅に短縮。
ナットを閉めるように回し、座面に到達したら設置完了となるので、スパナなどの工具も必要ありません。
しばらく開閉する予定のない場所も、もちろん定期的に開閉したい場所でも、繰り返し使用していただくことが可能です。
あります!
FITCAPはネジ山の突出長(出づら)に設置するため、ネジ山の突出長が極端に短い場所や、ネジ山が腐食して減肉が激しい場所には使用できません。
逆にいえば、設計段階でネジ山を突出させてネジ山が錆びる前にFITCAPをご使用いただければ、錆止めや落下防止の効果を発揮し、設備は常にストレスなく点検できる状態となります。
FITCAPの落下防止の効果についてはこちらに記載しています。
→ナットの落下防止/今さら聞けない?ダブルナットの正しい締め方
長期的な保全の視点から設計時に適用していただくことで、メンテナンスコストの削減が可能となります。
今回、設置したFITCAPはネジ先のみ保護するタイプです。
→(他の形状はこちら)FITCAPのホームページへ
締結母材やナットもはげしく腐食している場合、ネジ山だけ保護してもナットは外れないのではないか、というご意見をいただくことがあります。
こちらの動画をご覧ください。
ご覧の通り、きれいなネジ山が残されており、ストレスなく開閉できました。
ナット上部とネジ山の境目は若干の汚れがありますが、錆の発生はありません。
また、動画からわかるように、これだけ劣悪な環境に置かれていても、ナット内部と接触していたネジ山は錆びていません。
これはFITCAPを使用したことによる効果ではなく、FITCAPを使用しない環境下のボルトでも同じです。
ボルトのネジ山とナットの内溝の間はほとんど酸素がなく、激しく錆びるような条件ではないのです。
このボルトは生地鉄(素地)ですので、ナットに高耐食のメッキやステンレスを使用しなくてもネジ山を保護すれば締結部の保護(ボルトの開閉)は可能 となり、 ナットは表面が錆びても取替えが可能 そして、アンカーボルト(ネジ山)は錆びたら取替が不可能 ということがわかります。
過度なメンテナンスは腐食対策コストをムダにアップさせることにつながります。「削減できるところは削減する」ことが将来を見据えた保全サイクルを考える上で大切です。
ナットがあった部分は錆びていません
いかがだったでしょうか?
ボルト・ナットが外れないと、叩いたり、電動工具で切断したりと災害リスクの高い作業が発生するだけでなく、作業時間のロスにもつながります。
「ボルト・ナットが外れない!動かない!」という経験をされた方は、今回ご紹介した対処・対策方法をぜひお試しください。
もう一度、今回の内容をおさらいすると、
・現場に潤滑スプレー、ハンマーを常備
・できればサンダーやナットブレーカーを用意
前もって対策をしておくことで、「ボルト・ナットが外れない!回らない!」ということがなくなり、さらにはボルトの切断や取替、締め付け管理などの作業がなくなります。
サビを防いで、手間なく簡単取り付け可能なボルトキャップ「FITCAP」についてはこちらから
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